東都三ツ股の図 とうとみつまたのず
歌川国芳 うたがわくによし
- 天保(1830~1843)初期
- 横大判錦絵
- 当館蔵
洋風表現を用いた風景画のシリーズの1図。隅田川の下流で小名木川と箱崎川が合流する三ツ股。隅田川の西岸から東岸を眺める図です。右手に永代橋や佃島、対岸は佐賀町の左手に万年橋をとらえた光景が描かれています。視点を低く取り空間の広がりを感じさせる構図です。前景では、防腐のため焚火で舟底を焼く人たちを描き、立ち昇る煙と空の雲のぼかしによる表現が重なり合う様は、上部の空間にも立体的な広がりを感じさせます。
川に入って採集する人、屋根船、積み荷を運ぶ船などが浮かび、穏やかな水辺の風景です。対岸の萬年橋の右側に、火の見櫓と高い塔が建っています。この謎の形をした塔は、スカイツリーを予言したという都市伝説(?)が流行し、話題になりました。現在は井戸を掘るための櫓を強調して描いたという説に落ち着いています。色々な空想を膨らませてみるのも楽しい作品です。
2025年10月28日(火)から11月24日(月・休)まで
コレクション展・浮世絵「歌川国芳Ⅱ」にて出品
コレクション展・浮世絵「歌川国芳Ⅱ」にて出品