青磁象嵌菊花文薬器 せいじぞうがんきっかもんやっき
- 朝鮮半島 高麗時代 12世紀
- 当館蔵(浦上敏朗氏寄贈)
浦上コレクションの高麗青磁は珠玉の小品が多く、なかでもこの「青磁象嵌菊花文薬器」は、わが国で知られる高麗青磁の逸品です。本作と似た器形の容器に高麗王室の薬を担当とした役所名「尚薬局」の銘のある作例があることから「薬器」と呼ばれています。
また近年では当時の医薬と茶との関連性から「尚薬局」銘のある筒形容器は薬器のほかに茶器としても使用されたとも考えられています。
形が小さいが故にむしろ高麗青磁の技法・文様表現の冴えが凝縮されており、その精巧さは観るものに一驚を与えます。小品ながらも他の高麗青磁の名品に劣らない大器の風格を宿しており、見過ごされがちな掌中の美を改めて眼で愛でる喜びを感じさせます。
2024年7月9日(火)から2024年12月22日(日)まで
コレクション展・東洋陶磁「浦上コレクション 東洋陶磁の美」にて出品
コレクション展・東洋陶磁「浦上コレクション 東洋陶磁の美」にて出品