醤蒟箱「香満つ」 きんまはこ かおりみつ
忰山美知子 かせやま みちこ
![画像:[醤蒟箱「香満つ」]の画像](https://hum-web.jp/wp/wp-content/uploads/2025/05/L017w.jpg)
- 2015年
- 当館蔵(忰山美知子氏寄贈) 撮影:山﨑信一
本作品は、漆芸の制作技術のひとつ「醤蒟」のわざを使って装飾されたものです。醤蒟は、漆塗面を彫刻刀のようなもので彫り、その凹んだ所に色漆【いろうるし】を塗り込んだのち、表面を平らに研【と】ぎ出すことで模様を表します。
本作品にはバラが表現され、その色彩には濃淡がついているため、立体的に見える点が特徴です。濃淡は、1ミリにも満たない小さな穴を無数に彫る「点彫【てんぼ】り」の密度により表現されており、点の密度が高い所は濃く、低い所は薄く見えるというわけです。
忰山は、アイディアを熟成させながら制作工程を進めることのできる醤蒟を選び、独自の色彩表現や、巧みな彫りで制作スタイルを確立してきました。身近な植物や生き物を主題にしたものが多く、その生命力まで感じさせるような表現が魅力で、本作品も漆黒【しっこく】の器面いっぱいに表現された赤色と白色のバラがみずみずしく見え、香りまで満ちてくるような雰囲気です。
2025年4月19日(土)から2025年8月31日(日)まで
コレクション展・工芸「彩りの漆芸」にて出品
コレクション展・工芸「彩りの漆芸」にて出品