山口県立萩美術館・浦上記念館|山口県萩市

おすすめの一品

  1. ホーム
  2. おすすめの一品
  3. 萩三島写茶碗 銘 椎葉

萩三島写茶碗 銘 椎葉 はぎみしまうつしちゃわん めい しいのは

画像:[萩三島写茶碗 銘 椎葉]の画像

 いわゆる三島手(みしまで)と呼ばれる高麗茶碗を写した萩焼の茶碗です。轆轤挽きされた胴部はふっくらとした立ち上がりを見せ、口まわりは薄くつくり、こころもち沓形に歪めています。高台まわりに見える素地土は鉄分が多いため茶褐色を呈していますが、その上に灰色の釉をかけ、さらに刷毛で白土を化粧掛けしています。そして、胴部の上方には幾重もの線をめぐらせ、その下には縄すだれのような縦に波打つ線を刻んでいます。
 このような線や文様を彫り込んで白土を塗る技法は、朝鮮王朝時代の粉青沙器(ふんせいさき)と呼ばれるやきものに見られ、これを茶陶に取り入れた日本では、伊豆(静岡県)の三島神社で発行した仮名暦(かなごよみ)に似ているとして三島手、暦手などと呼びました。本作品はそうした朝鮮の粉青沙器(三島手)を萩で独自に写したものです。
 ところで、この茶碗の箱の底には「天和四年甲子正月三日」と墨書があり、江戸時代前期の天和4年(1684)年頃の制作であることがうかがわれます。古萩と呼ばれる江戸時代の萩焼茶碗には制作時期がわかるものが少なく、当時の表現や茶人たちの好みを知る上でたいへん貴重です。

2025年9月30日(火)から2025年12月21日(日)まで
コレクション展・東洋陶磁「古萩」にて出品

これまでのおすすめの一品