六玉川 野路の玉川 むたまがわ のじのたまがわ
窪俊満 くぼしゅんまん
![画像:[六玉川 野路の玉川]の画像](https://hum-web.jp/wp/wp-content/uploads/2025/08/ippin_20250901.jpg)
- 天明期(1781~1788)末頃
- 大判錦絵 6枚続内の1図
- 当館蔵
野路の玉川は、滋賀県草津市野路を流れていた川です。『千載和歌集』収録の源俊頼の歌「あすも来む 野路の玉川 萩越えて 色なる波に 月宿りけり」と詠まれ、萩の名所として知られたことから、萩の玉川ともよばれました。作品では、三人の美人が川辺で遊び、萩を手折ろうとしています。和歌に繰り返し詠まれた名所を歌枕といい、六玉川とは、歌枕となった六つの玉川のことで、野路の玉川、井出の玉川、調布の玉川、高野の玉川、野田の玉川、三島の玉川をさします。本作品は六枚続のシリーズのうちの一図で、六枚続の大画面でも、一枚ずつでも鑑賞できるように構成されています。このシリーズは、明るい色を控えて薄墨や墨を主として、寒色系の緑や黄、藍、紫などで彩色をする「紅嫌い」(べにぎらい)という表現が行われています。上品な趣の紅嫌いは、俊満が得意とした表現でした。
2025年8月26日(火)から9月28日(日)まで
コレクション展・浮世絵「浮世絵と和歌」にて出品
コレクション展・浮世絵「浮世絵と和歌」にて出品