萩茶碗 はぎちゃわん
![画像:[萩茶碗]の画像](https://hum-web.jp/wp/wp-content/uploads/2025/09/ippin_20251016_w653.jpg)
- 江戸時代前期~中期
- 当館蔵
ひと口に茶碗の形といっても様々な種類があります。
丸みを帯びた椀形(わんなり)や胴がすんなりと広がる杉形(すぎなり)、筒を短くしたような半筒形(はんづつがた)などなど。
今回ご紹介するのは江戸時代に焼かれた塩笥形(しおげなり)の萩焼茶碗です。
塩笥というのは、朝鮮半島で塩や味噌を入れるために使われた小壺のことで、塩笥形は茶の湯で用いる茶碗の形としてこれを取り入れたものです。
胴が膨らんで口がややすぼまり、縁がラッパ状に開いているのが特徴で、見ようによってはチューリップの花にも似て、なかなかチャーミングです。
塩笥形の茶碗は両手で持つと掌にすっぽり収まる手触りの良さが愛され、口がすぼまるためか冬でもお茶が冷めにくいと言われます。
確かに、本作品を持ったときの印象は「しっくり」感が絶妙で、厚めに掛けられた枇杷色の釉もマットな質感で、落ち着いた温かみを感じさせます。
また、腰のあたりの釉を指で拭ってあらわした湯気のような模様も、何とも言えない味わいを生んでいます。
もしこのお茶碗でお茶をいただいたならば、と想像してみてください。
それだけでもほっこりした気分が味わえそうです。
2025年9月30日(火)から2025年12月21日(日)まで
コレクション展・東洋陶磁「古萩」にて出品
コレクション展・東洋陶磁「古萩」にて出品