近代美人画の系譜―浮世絵から日本画へ
2025年4月22日(火)~5月18日(日)
明治時代に入ると、銅版画や石版画といった西洋から導入した新しい技術による印刷物が隆盛しますが、木版画においても浮世絵の技術を受け継いだ木版口絵という新たな分野が生じました。木版口絵は明治中期に流行し、文芸雑誌や単行本の巻頭に折り込まれたものです。挿絵画家として人気を博したのは、浮世絵も手掛けていた水野年方【みずのとしかた】と尾形月耕【おがたげっこう】。彼らをはじめとした挿絵画家たちはまた、日本画家としても活躍していくこととなります。
また、浮世絵それ自体は、日露戦争(1904)に取材した戦争絵を最期に衰退の一途をたどりますが、大正期になると、渡邊庄三郎【わたなべしょうざぶろう】によって伝統的な木版技術を継承しながらも芸術的な版画制作をめざす“新版画”【しんはんが】が創始され、渡邊のもとで水野年方の弟子である鏑木清方【かぶらききよたか】の門弟たちが活躍していきます。
今回は明治中期から昭和期にかけての木版による美人画を紹介し、浮世絵から日本画へと移りゆく表現をお楽しみいただきます。
ギャラリートーク(担当学芸員による作品解説)
- 2025年5月10日(土)11:00~(約30分)
- 事前申込不要(要観覧券)

《もの思う美人》
制作年不明 木版口絵